第2回ネパール日本脳神経外科学会特集
AANI副会長
広島大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科学教授
栗栖 薫
Basant Pant君が1998年に帰国して今年で8年が経過しますが、以前から上記カンファレンスをネパールの脳神経外科医療の発展のために、教育集会として開きたい、言っていました。当初、今年の3月末に依頼してきましたが、私も有田先生も都合がつかず、半年ずらして9月末の開催になったわけです。本来ならば、ダサインという収穫祭を控えての天候の良い晴れた日々が続くという見込みで計画されました。
主題はDissemination of the Knowledge of Neurosurgeryでした。これも彼と色々と相談して、propagandaではなくdisseminationとすることで、より広く神経内科のみならず、放射線科、小児科、一般内科、一般外科、コメディカルにも神経外科の知識を普及させ患者の発掘と対応できる疾患の幅を広げるもの、としました。彼の希望に添い、日本から出来るだけ多くの医師に参加してもらい、教育講演を多くして貰うことになりました。
結果として、端和夫、福井仁士、神野哲夫、各名誉教授、現役として、児玉海南雄教授を初め、古林秀則大分大学病院長、永田泉長崎大学教授、加藤庸子藤田保健衛生大学教授、有田和徳鹿児島大学教授、大西英之大西脳神経外科病院院長、齋藤孝次釧路脳神経外科病院院長、ほか、藤田保健衛生大学から2名、大分大学から2名、静岡てんかんセンターから1名、広島から隅田昌之先生、大庭信二先生、江口国輝先生、三原千惠先生、私の日本人医師の参加協力を得ました。更に、イタリアから大御所のBricolo教授、インドAtul
Goel教授, Basant Misra教授、シンガポールからIvan NG医師の参加を得て、2日間ではありましたが、 脳神経外科の殆どの領域をカバーできる教育講演が行われました。一部会場が重なって、外傷や脊椎のセッションも行われました。ネパールから約100名の医師、コメディカルの参加を得て、充実した教育集会であったと思います。日本各地から参加頂いた先生方のすばらしい講演や、外国からの特別参加の先生方の充実した講演、更に広島の各先生の発表も、教育という観点から的を得ておりそれぞれに持ち味を出した内容のある講演でした。プラビン先生が学会本部や会場で丁々発止の活躍をしてパント君を助けていました。なお、今回のプラビン先生の旅費はAANIからご支援頂いています。
また、長くネパールの脳神経外科医療を支援するNGOであるAANIの副会長渡部朋子さん、久仁子さん、とPant君の通称日本のお母さん、児玉南海雄教授の奥様、大庭信二先生の奥様、三原千惠先生のお母さん、それに私の家内も加わり、ひさしぶりのビジャヤとの再会で、Lady’s
Programはそれぞれに楽しまれていました。しかし、唯一残念だったのは、学会が主催されたポカラが3日間とも雨で、またカトマンズも天候不順であったことです。本来ならば、会場のホテルから美しいアンナプルナ山系が一望出来るというので皆さん大変楽しみにしていましたが、雨雲の合間から瞬時、かすかに見える程度でした。
ネパールの政情は不安定で、マオイストが横行しトレッキング客を相手に金を要求する状態と聞いていました。しかし、少なくともカトマンズ市内やホテル近辺で危険が迫るような状況はありませんでした。また、カトマンズに人が集まって人口が220万にも膨れあがり家屋の建設ラッシュで、その影響か、カトマンズ市内でも電話環境が悪く、ましてや高速インターネットは無理でした。ポカラでホテルのインターネットから努力しましたが、不安定で、まだまだインフラが不十分な状況でした。
学会以外では、それぞれに臨床支援並びに教育があり、江口国輝先生も苦労して脊椎の手術を、私は、江口国輝先生と三叉神経痛に対するMVDを、大庭信二先生は頸動脈ステント留置術を、有田和徳教授はてんかん外科を、大西英之院長先生は困難な斜台錐体部髄膜腫を手術されたそうです。
パント君も、ビジャヤも、開催は大変だったと思いますが、非常に喜んでくれていました。また、カトマンズのみならず、ポカラの医師会長や他の脳神経外科医、神経内科医、 外科医、小児科医なども今回の教育学会を大変高く評価してくれていました。これを契機にして、ネパールの脳神経外科医療が少しでも前進し、脳神経外科疾患で苦しむネパールの人々が少しでも減少し有意義な生活を送ることが出来れば、この上ない喜びです。
次回3回目は、日本で行うことを討議しましたが、開催形態、その後の施設訪問・視察・開催資金調達なども含めて考えなければなりません。
AANIの皆様をはじめ、ご参加を戴きました日本各地の先生方、並びに奥様、その他ご支援頂いております皆様方、この場をお借りして御礼申し上げます。ご支援大変ありがとうございました。引き続き宜しくお願い致します。
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